美保神社の祭神である事代主命は、ゑびす様とも呼ばれます。
ゑびす信仰は、本来漁村で「海幸の神」として信仰されていました。
その起源となった地が、事代主命が鯛釣りをされた伝わる沖の御前、地の御前です。
釣りの聖地は美保神社の飛地境内
美保関灯台の沖合い3キロのところに浮ぶ「沖の御前」、そして眼下に見える「地の御前」は、神話の時代に事代主命が釣りをされたと伝わる地です。
これらの島には、4~5月にかけて鯛の群れが産卵のために集まってきて、鮮やかな朱色となります。
ゑびす様が鯛を抱えるようになったのは室町時代以降だとされていますが、一説によると「朱色に輝く鯛」が、海の中の太陽のように見えて、それが「海幸の神」であるゑびす様と結びついたと考えられています。
毎年5月5日には、深夜に船で沖の御前に神を迎えに行く神迎え神事が行われていますが、この海中の太陽が由来となったのかもしれません。
中世以降に七福神と習合
ゑびす信仰は中世以降、七福神信仰と習合して、現世利益を求める「市場繁盛の神様」となり、上方からの商業文化の波に乗って全国に広まっていきました。
めでたい魚と言えば?
鯛は祝い事にはかかせないめでたい魚として万人に愛されています。
神話では事代主命は国譲りの談判の時に、美保の岬で漁(すなどり)と鳥の遊び(鳥を捕る)をしていたとされていて、鯛を釣っていたと書かれているわけではありません。
しかし、神楽の事代主命の舞が鯛を釣るのは、市場繁盛のめでたい舞いにふさわしい魚だからです。
漁(すなどり)や
鳥の遊びも空晴れて
波風立たぬ
今日の楽しさ
備中神楽の事代主命の歌です。
この歌の後に釣り針を下ろして鯛釣りがはじまります。
動画でご確認ください!
それでは、飛び跳ねながら鯛を釣る事代主命のめでたい舞いをご覧下さい!