八つの名を持つ大国主命は政治の神

豊葦原中津国を少彦名命とともに造営した国造りの大神

大黒様として福の神とされ、縁結びの印象が強い大国主命だが、実は政治の神でもある。

大国主命は、農耕と医療とまじないを広め、少彦名命とともに天下を経営し豊葦原中津国の国造りを完成させる。

大国主命という名も、大国を治める主の意であり「国造大国主命」と名乗る神楽もある。

八千矛神(やちほこのかみ)という別名は、武力の象徴である矛を多く持つ神として、武神の性格を表すとされるが、小さな国や村などの部族集団に、矛を与えて目印にして連合国をまとめていたからという説もある。

出雲国風土記では、所造天下大神(あめのしたつくらししおほかみ)という最大級の尊称で、多くの活躍が記されている。

神能「国譲り」での高天原との問答

日南神楽「国譲り」で大国主命が国を譲れと要求する経津主命(ふつぬしのみこと)武美加津知命(たけみかづちのみこと)に、国造りについて語る場面がある。

「それがしと高句麗の朝使少彦名命と二人の心をひとつに合わせ、大海に三すじの縄をうちかけて、モソロモソロと引き寄せて、凝り固まりたるは島となし。成り合わざるは海となし、島々には府県令を設けて政治きびしく治める国なれば、たとえ高天原において治国の任にたわる神がご誕生あると言えども、只今国譲ること相かなわず」

「それがし国土経営致すは困難苦労いくばくなるか。即ち、道なきところに道をつけ、水なきところに溜池を掘り、医薬、まじない、郵船の直を開き、また国の周辺を伺えば、畦すき、胡麻などを植えて害虫の膨張を防ぎ、木草万物に至るまで斯くのごとく水々しく結構平均に繁栄致すも、それがしの高徳の然らしむるところなり。また、それがしには八つの名があると申すのも、国土経営によりて得たるものでござる」

八つの名が与えられるほど奮闘した国造の神である大国主命は、とても偉大な神なのです。

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