須佐之男命降臨の地「日野郡」の荒神信仰と荒神神楽

ヤマタノオロチ伝説の地における荒神信仰

須佐之男命降臨の地である鳥髪岳(船通山)の周辺には鉄文化と大蛇伝説、そして荒神信仰が伝わっています。

ここは、鳥取県、島根県、広島県の県境であり、日野川や斐伊川の源流でもあります。

この地方では水神や地神と共に生命力の根源として荒神を祀り、疫病の流行などの脅威を荒神のなせる業として畏れました。

太古の昔より人類は火を崇めてきましたが、荒神は火を司る神とされます。神楽では「ろつくう様」と云い、竈の神として各家庭に鎮座しています。

台風や地震などの大自然の驚異も荒神の神慮とされています。また、家畜、とくに牛馬の神としても信仰されています。

蛇は荒神の使いとして畏れられており、綱神楽では藁で造った大きな蛇体を神殿にすえて、参集した氏子全員で「荒神・三宝荒神」と唱えながら前後左右上下に激しく揺り動かして神懸かりとなり、荒神の託宣を得ます。

荒神祭りは神無月に行われてきましたが、いつからか月日に関わらず行われるようになり、荒神神楽そのものの意味も、御魂鎮の行事から神慮を慰める行事に移行してきました。

荒神は名のとおり荒ぶる神であり、祭神は複数あります。奥津彦、奥津姫、稚産むすび神、火産むすび神、そして本格とされるのが須佐之男命です。

荒神信仰は上古より続く原始信仰ですが、現在ではその意味もよくわからなくなっています。

ただ、諸行事や、古いしきたり、各種の動座、鎮座、加持、白蓋行事、綱神楽、やんさ押し、神懸かりと託宣による神秘的なものが伝わり、意味がわからない中でも魂に感じるものがあるように思います。

参考文献:日南神楽

写真:2014年11月の広島県庄原市奴可神社比婆荒神神楽

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