伝統芸能が集落コミュニティを作る下蚊屋荒神神楽保存会明神社

鳥取県日野郡江府町下蚊屋集落は、霊峰大山の裾野の険しい中山間地域にある集落だ。

下蚊屋集落は大山古道「横手道」という街道沿いの宿場町として栄えました。

横手道は、岡山県真庭郡河上村から内海峠を越えて、下蚊屋、御机、鍵掛峠を経て大山寺へ続いています。

その下蚊屋集落には、荒神神楽という伝統芸能が400年前から伝承されています。

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集落が荒神神楽を中心にまとまる

下蚊屋の荒神神楽は、鳥取県の無形民俗文化財に指定されています。

集落の中心にある山口神社境内には神楽を舞う社務所があり、下蚊屋荒神神楽保存会明神社が伝統芸能を粛々と伝承しています。

そして集落は神楽とともにあるのです。

変えない伝統芸能

下蚊屋荒神神楽保存会明神社の会長、小椋さんは言います。

「神楽は変えない」

先輩から受け継いだものをそのまま後世に託す、神楽を変えないこと、そのまま伝承することが大事なのだそうです。

写真:オオクニヌシの舞の稽古、太鼓を叩く小椋会長

伝統芸能として伝承するため、太鼓も笛も楽譜がありません。

ものごころついたときから集落で荒神神楽に触れ、先輩方の技をそのまま見聴きして習得するのです。

6時間にも渡る神楽の中で神々の会話や口上として歌われる神歌(じんか)と呼ばれる歌は、さすがに最近、紙に書き記したそうです。

動画:2013年6月28日の下蚊屋での練習風景

夏は木地師、冬は神楽団となって集落をまわる

下蚊屋集落は木地師の里です。

木地師とは、木の器などを作る職人のことで、夏は木地師として山に入り、秋の収穫後から冬、そして春までは神楽団となって遠くは倉吉あたりまで庄屋さんの家などで神楽を披露してまわっていたそうです。

これは、冬の間の出稼ぎのようなもので、よその集落で神楽を披露することで食事が出る、家にいて米を食べないぶん家自体は食いぶちが減るのです。

続く秘訣は集落で取り組むこと

伝統芸能や郷土芸能は担い手の減少などによって、活動を停止する団体も多く、その保存と振興が課題となっています。

そんな中で下蚊屋荒神神楽保存会明神社では24歳の若者から70代まで活発に活動し、年間約10回の神楽公演をこなしています。

活発に続く秘訣を小椋会長に聞いてみました。

「集落でやるから続くんだ」

スポーツや趣味の活動では、車などの移動手段が発達した現在、いろんな場所から集まってきて活動をすることが多いのですが、それではダメだと小椋会長は言います。

「好きだからやるでは、好きじゃなくなったらやめてしまう。下蚊屋では集落で神楽に取り組むため、やるのが当たり前だ。だから続くんだ」

練習に出てこなかったら家まで呼びに行くと言うと、集まっているみなさんからどっと笑いがこぼれました。

昔は荒神神楽をやりたくても、一家の長男しかやることができなかったそうです。

練習の後の酒が大事

神楽の練習が終わると、みなで酒を飲みながら雑談をします。

これは遅いと12時を過ぎることもあります。

集落で行う下蚊屋荒神神楽は、歩いて帰れる距離の人が集まっているのですから、気楽に飲むことができます。

「若者と年寄りがなじむには酒が大事だ」

「酒が入るから遠慮なく話せることがある」

集落の結束が伝統芸能と酒で固まっているのです。

この日の宴も深夜まで続き、集落の中心にある社務所からは大きな笑い声がしていました。

伝統芸能が集落のコミュニティを形成する。

中山間地域のにぎわい作りに、郷土芸能や伝統芸能はとても大きな意味を持っていると感じました。

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